しばらく泣き止むまで待ってみたが
アコの涙は乾かない。

「アコ、本当にごめん。
オレ、そろそろ行くよ?」

返事はない。

じゃあね、と言って
公園を出る。


精算、出来たのかな…?


家に着く頃、
メールが入った。

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アコ

あきらめないから。
隼人のこと、
あきらめないから。




あいつ、このまま同じ町に
住む気なんだろうか…



深く息を吸って、吐く。


重い足取りで、重い鉄の扉を開ける。

リビングに入ると母親がいた。

「ただいま」

「あ、隼人おかえり」

母親がオレの顔をまじまじと見る。

「なに?そんなに息子が格好いいの?」


「あんた、なんかあったの?」

さすがに親だな。

「別に」

うっとうしいので部屋に行こうとする。

「あ、そうそう、
亮さんのマンション、一室空いたって」

ドアに手をかけながら
振り向く。

「本当?!」

「何、そんなに喜んで。
うちが嫌なの?」


いや、うちは嫌じゃないんだけど、
アコがいるこの町が…



アコが出ていかないなら

オレが出ていけばいい。