泣き止まないアコを放って
このまま店から出ようと何度か
思ったが、そこまで冷淡にはなれない。

「アコ、とりあえず出よう」

アコが首をふる。

「だって、出たら帰っちゃうんでしょ?」

「少し落ち着いて話そう」

面倒くさいな、とは思いながらも
これがここ数年の代償なのだと
諦める。


ファミレスを出て、近くの公園へ行く。


「隼人、教えて。
なんで?この一ヶ月何があったの?」

「聞かないんじゃなかったの?」

「やっぱり聞く。
納得いかないし。」

「じゃあ聞いたら納得する?」

分からない、と首をふる。



「オレはアコと過ごした時間は
それはそれで楽しかったし、
おまえに何度も彼女にしてほしいって
言われて、でも付き合わなかったのは
ごめん。
それはアコが嫌いだったからとか
そういうことではなくて、
オレ自身の問題であって…
もちろんアコは知ってたと思うけど、
アコ以外にも何人かそういう女はいた。」

知ってる、とアコが小さくつぶやく。

「だけど、この一ヶ月で
全ての女と手をきった。
アコとももう今までの関係には
なれない、ごめん」

「なんで?」



「好きな人が いる」


「全部精算しようとするぐらい
そんなに好きなの?」


「こんなに人を想ったことはないぐらい」


アコがまた号泣しだす。

「本当にごめんな、
オレはもうアコの涙も拭けない」