久しぶりに会ったというのに、
いつもの弾丸トークがない。

「元気ないけど、なんかあった?」

―――ッ

「それ、隼人が言っちゃうの?」

「うん」

アコがプイっと窓の外を見る。

「おまえそういえばさ、あの
なんだっけ、同じ会社の営業くん?
だっけ。どうなった?」

「あー、内野くん?
別にどうもこうもないけど。
ご飯には誘われるけど、
イマイチ気乗りしなくて。」

アコは組んでいた腕をほどいて
身を乗り出してきた。

「なに?なに?
一ヶ月もほっといたから
アコさんのことが気になるの?」

「ちげーよ、ばか」

またふくれっ面をする。


「もう25歳なんだから、
そんな顔してもかわいくないよ?」

そっぽを向いていたアコが
オレを睨みつける。

「やっと久々に会えたと思ったら
なんでそんなにいじわるなの?
… なんかあった?」


「あのさ…」

「いや!言わないで。
やっぱりいいや、言わないで」

アコが激しく首をふる。

「ごめん、アコ。」

オレの言葉に被せるようにキミが言う。

「お願い、隼人、言わないで。
このままでいさせて」

ポロポロ大粒の涙を流す。

ごめん、アコ。

もうこれ以上一緒にいたら
傷が深くなるばかりだ。

もう十分傷つけてしまった
かもしれないけれど。