小田原に着くと
空が泣き出していた。

知らない町、知らない空。
キミのこともまだほとんど知らない…

腹がへっていることに気づいて近くの喫茶店へ入る。
注文を頼んで待っている間、キミはケータイを開く。

一瞬、眉間に皺を寄せる。

それはほんの一瞬で、
オレみたいにキミを観察していなかったら
見逃していたと思う。

「どうしたの?」

「うぅん」

「何?マサ?」

「うぅん」

マサって聞いても
動揺すらしないんだな。

「好きなの?」

心の中で言ったつもりが
声に出していた。

やば。

「え?」

キミがケータイから顔をあげる。

「あ、いや、マサのこと
好きなのかなと思って。」

「なんでそんなこと聞くの?」

表情も変えずにキミは言う。

なんで… って

返答に窮する。