「もしもし桜坂千恵子さんのご主人さんですか」


「そうです」


「こちらはN脳外科ですが院長から話があるのですぐに来てください」


「家内は透析患者です。そちらでは透析患者の治療ができないでしょう。すぐに転送してください」


「院長が話があると言っていますのでとにかく一度来てください」


「ここからそちらまで行くのに30分はかかります。時間が間に合いません。早く転送してください」


「院長の話が聞けないのですか」


「そうじゃないです。透析患者なので処置できる病院へ転送してくださいとお願いしているのです」


会話の途中で城戸警察官がどこから電話がかかってきているのか聞いてきたのでN脳外科からだと伝えました。

城戸さんはすぐに本部へ早く連絡するように電話をしてくれます。


「何故院長の話が聞けないのですか」


「時間がないんです。先に総合病院へ転送してください」


しつこく看護師が話を聞きに来いと言っていたのに突然に

「ちょっと待ってください院長とかわります」


そしてすぐに院長が出て

「脳内出血なので転送します」




どうやら警察本部からの救助要請が届いたようで突然に院長が出てきました。