思わず、ブンブンッと首を振る。

愛ちゃんと目が合った。

吹き出す愛ちゃん。

なにやってんだ私。

もう一度深呼吸をしようとしたが、はぁ、というため息が出た。

同時に、内線が鳴った。

「はい、秘書課、田代です」

きりっとした声が自然に出る。

「あ、美樹?」

彩だ。

「今日お昼一緒に行けないけど、夜ご飯行かない?」

わざわざ内線を使うなんてよっぽど急いでるのだろう。

「いいよー。沙織にも言っとくね」

「沙織には言っといたから大丈夫」

力強い口調に何か含みがある。

「じゃあ、夜、お楽しみにー」

おいしいお店でも見つけたかな?