何分が経っただろう。
華架は目を真ん丸にして、私を見つめる。
「じゃあ、就職するの?」
私はゆっくりと口を開いた。
「ううん。私…ニューヨークに行って通訳者になる勉強がしたいの。」
通訳者になることー。
それが私の夢でした。
『甘宮紗衣』は、
6年前に亡くなった母が私に付けてくれた名前。
私の母は通訳者で、
私にとっての自慢の母親
だった。
なのに…
事故で亡くなった。
立ち直れなかった私を、
「紗衣が母さんの夢を叶えてあげて。」
そう言って私を救ってくれたのは、父親だった。
この時、
私は世界一の通訳者になると決心したんだ。