その階段には、いつも鍵がかかっていた。 …かかっているようになっていただけで、 実は鍵なんてかかっていないのを私は知っていた。 階段前のドアをあけて、一歩一歩降りていく。 鉄製の階段だから、降りるごとに音が響く。 カン、カン、カン… 私は… 間違っていたよね。 琥太郎を責めることなんて、一つもできない。 結婚してる身で、あんなこと…。 単なる浮気。 単なる不倫。 琥太郎は…被害者だよね。 ごめんね…。