「このような事があって、今は心が揺らいでいます。何が真実なのか…それがわからないんです」


「真実か…真実は心の中にあるのかもしれないよ」


どうして…


どうしてこんな事があった私に微笑みかけてくれるんですか?


真実は心の中にある…



今の私にはその意味が分からなかった。



私はそのまま社長室を後にしようと立ち上がり、ドアを開けた。


「夢華が!夢華が心配していたよ…私はつぼみにどうしてあげればいいのかなって。聖夜と付き合っている夢華も自分がどうしたらいいのか分からなくなってきてしまっているのかもしれない。また夢華を支えてあげてくれないか?」




振り返らず私は歩いた。


出口がない道を。




返事なんかできないよ。


自分の事がわからない私が、人を支える事なんて出来るワケがない。




前なんてもう見えない。


後戻りなんかできないんだから…