観覧車が下に着く前に高野は座席に戻り、降りた後も二人で黙っていた。


どこに行くなど言うわけでもなく、歩き始めると高野から俺の手に手を絡めた。

たまにチラッと俺の顔を見て様子を伺う高野が可愛くて仕方ない…。


「そういえば弘貴達魔王を倒す冒険から帰ってきたのかな?」

「…もうどうでもいいけどね」

「さっきの所戻ってみようか」


さっきの橋のある場所に戻ると船がこちら側に到着しているのが見えた。


「お兄ちゃんお姫様連れてっちゃダメーっ!」

「だから!ちよ子は姫じゃねぇって!早く、母ちゃんの所戻れよ!」


子供と言い争う弘貴の姿が見えてその場所に行ってみる。


「魔王倒したの僕だもん!僕がお姫様と結婚するんだもん!」


男の子が天井に抱き付いて離れようとしない。


「うぅ…困ったなぁ…あぁー!結花ちゃん、穂高君!あっ…二人もしかして!」


天井は手を繋いでいた俺達を見て嬉しそうな顔をした。

そういえば…手繋いだままだった。


「私達付き合う事になったから…ちよ子にも勇敢な彼氏が出来たんだね?」

「なんか懐かれちゃって…」

「僕のお嫁さんだもん!」


その男の子は真剣だった。

弘貴、男の子に天井が取られそうですけど…