「母さーん、紅愛帰ってきた?」

もう夜の11時をまわっていた。

さすがに腹でも減って帰ってきてんだろ。

俺も軽く考えていた。

しかし母さんの答えに言葉を失った。

「...紅愛ちゃんの...身代金を..要求され..て...」

母さんは、電話の前で顔を真っ青にさせて立ちすくんでいた。

...えっ?なに言ってんの?
紅愛が誘拐??

だって、あいつ...

俺の頭にあいつの顔がよぎった。

あいつ...そういえばものすごく小さくて、壊れそうだった...

紅愛は...今どんな顔をしているだろう。

きっと泣いている。

……………助けなきゃ