2011年8月8日、月曜日。

誰も想像できないような人生がこれから始まるなんて、まだ知るはずもないこの日の朝は、極々普通に始まった。

６畳程度の部屋にあるベッドから目覚ましの音が聞こえ、いつものように俺は目を覚ました。

夏休み、明けてまだ少ししかたっていなかったから俺はまだ寝ぼけていた。

「奨平、おはよう」

母さんがいう言葉。

あまりにいつもと変わらなかったからこの時は全然気付かなかったんだ。
　　彼女の存在に．．


俺は寝ぼけたまま母さんに言った。

「朝ごはんは？？｣

すると母さんは目をそらしながら言った。

「テーブルの上においてあるから食べていいわよ。」

テーブルの上にはとても豪華な朝ごはんが置いてあった。

…料理下手な母さんがこんなものを作れる訳がない。

「母さん、これ誰が作ったの？」

母さんが目を逸らした先をとっさに見た。

リビングのソファーだった。

でもそれはいつも見るソファーではなかった。

見知らぬ女の子が座っていたのだ。

髪の毛は少し長めの人形のように整った顔立ちをした女の子。

「こんにちわぁ！」

突然話し掛けられ驚きを隠せない俺に彼女はつづけた。

「わたしは．．あなたの妹です！」

…！？
なにを言い出すかと思えば．．妹！？
頭おかしいのか？
俺は、16年間兄弟なしで生きてきたぞ？

あまりのことに頭がついていかない俺に母さんは、とどめを刺すように言った。

「奨平、お父さんの隠し子よ」