私はとりあえずフルートを吹きながら隆司を待つことにした。
なんだか落ち着かなかったし部活もやらなきゃだったから。
自分のフルートの音で
廊下の足音は聞こえなかった。
−がらっ
「伊藤さん?」
「栗原くん…」
隆司の私を呼ぶ声に
心臓がばくばくした。
「部活お疲れ様。教室つかっちゃっててごめんね。」
「ありがとう。全然いいよ。フルート上手だね。きれいな音。」
隆司が褒めてくれた。
「お世辞でもうれしいありがとう。」
私は隆司への気持ちがバレないように静かに話す。
「ははっ、お世辞じゃないって」
隆司の笑い声…。
「好き。」
「え?」
隆司は驚いた顔で
私の顔をみる。