「ほんとは俺、伊藤が隆司のこと好きなのなんとなく知ってたんだ。」


「え…。」


「伊藤が休み時間いつも俺らのクラス来てたりとか、廊下歩いてるときとか、さりげなく隆司のこと見てた伊藤のことが好きになっちゃったんだ。」


そうだったんだ…。
私が隆司をみつめているとき。

高木くんは私を見つめてくれていたんだね。


「私、全然気付かなかった。」


「ははっ、そりゃそうだよ。伊藤、いっつも隆司のことしか見てなかったしな。」


高木くんのことを考えると胸が痛い。



「俺だったら伊藤のこと泣かせたりしないのに…。やっぱり伊藤は隆司しか見てないんだな。」



ごめん、ごめんね。
高木くん。


高木くんはこんなにも私を思ってくれてるのに。


やっぱり私は−。



「伊藤さん!」


えっ!?


廊下に走る足音が響く。


隆司だ…。


「栗原くん…!」



隆司が走ってきてくれた。


「伊藤、頑張れよ。」
高木くんは私に静かにそう言って頭をなでてから帰って行った。


高木くん…ありがとう。



私、やっぱり隆司が好き。ふられてもいい。
この気持ちは伝えたい。



私は捨てようとしていたチョコをそっと後ろにかくした。