静かな廊下に私と隆司の足音が響く。



隆司は音楽室の前で走るのをやめて私の腕を離した。


「なんか…いきなりごめん。ビックリしたよね。」


後ろをむいて話す隆司。


隆司の背中を見つめながら私はすごくドキドキした。

「ううん。大丈夫。」


私は必死に声を出した。


「ほんとにごめん。俺…我慢できなかった。」



…我慢?



なにに我慢できなかったの?


聞こうと思ってやめた。


「伊藤さんって慎也と仲いいの?」


「うん…。まぁまぁ。」



「塾がいっしょって本当?」

「本当だよ。クラスはちがうけど。」


「そうなんだ。」

「うん。」


隆司はそのまま
黙っちゃった。