ああ

君はまたそうやって、無邪気な言葉で僕の心臓を止めるんだね


僕は、志鶴の頬にそっと手をやった。

志鶴は微笑んで、僕の手の平に頬を預ける。


「パーティーは楽しい?」


僕が尋ねると、志鶴は顔をしかめた。


「会場は素敵だけど、話かけて来る人がみんな退屈な話しかしないの」


だろうね


「あと、結婚指輪をしているのにナンパしてくる人ばっかり」


「なんだって?」

思ったよりも大きな声になった。

周りにいた人間が振り向く。


「安心して。おじさんばっかりだから。若い男の人は、わたしより亜由美がいいみたい。ますます自信なくしちゃった」


やれやれ……

油断も隙もない


「羽竜君?」

誰かが僕に声をかけた。