この商売を始めてからもう1年になる。




愛のないセックスは何十回したのだろうか…




最初の相手は風俗でバイトしていたボーイだった。




その人は私を面接してくれた人で手の指に綺麗な桜が掘ってあるのが印象的だった。




何も分からない私の面倒を良く見てくれた。嫌なお客さんのグチも毎回のように聞いてくれた。




そこから彼と恋に落ちるのに時間はかからなかった。




しかしキャストとボーイの恋愛は御法度である。バレれば店に100万円支払うのが鉄則だった。




しかしそれでもと彼は私を求めた。




彼の甘い誘惑に私は簡単に堕ちた。




セックス経験が少ない私にも分かるくらい彼はとてもウマカッタ。




交わったその日から私は彼の彼女になった…気でいた。




しかし彼は次の出勤日から違う女の子に構いだした。




ざわめく心。




私は勇気を出して聞いてみた。




「あの子は誰?」




彼の口からは




「ただのキャストだよ。新人なんだから神楽も仲良くしてあげなね。」




そんなはずはない、ならさっきどうして彼女の手を握ったの?どうして優しく手にキスをしていたの?




泣きたい気持ちをグッと堪えて仕事に集中した。




そのさなかも考えるのは、あの二人のこと。




聞きたいのにやたらと指名がかかる。フリーの客にも私が当てられていく。




こんな時に限ってついてない。




仕事が一段落してトイレに向かった。




個室から物音が聞こえる…