「 最近事業拡大とかいって、会社も人手も大きく変わったんだ。俺にも部下っていえるやつが出来たのにそいつら全然仕事覚え悪くてさ、俺の残業が増えるってわけ。」


そういえば付き合い始めた頃は、かずくんの口から残業なんて聞いたこともなくて、よく夜出かけてたよね。


「そこそこ先輩・後輩の関係も打ち解けて来た頃に、後輩が帰宅途中に居眠り運転で事故って車は廃車。双方に大きな怪我がなかっただけ良かったよ。ただそれからは出勤と退勤は俺が送り迎えするようになって、それがまたこの家から遠くてさ。俺まで居眠り運転するわけにもいかないと思って、先輩の家とか実家とかに泊まってた。」


もっと早く説明してくれれば、私だって毎日毎日寂しい気持ちを押し殺してこの家にいることはなかったのに。


でもやっとすっきりした。


「大変だったんだね。よく状況も知らないのに、一方的に気持ちぶつけてごめん。」