「うわぁ……!」

羽兎は早裕の肩を離すと、目を輝かせながら紘哉に向かって近付いてきた。

彼はキッと彼女を睨む。

「今は後回しだ!早く警察に連絡しろ!!」

「あ……うん!」

羽兎はハッとなり、階段を降りていった。


彼は開け放たれた窓に近付く。
風でレースのカーテンがゆらゆらと揺れている。

外でロックスが激しく吠えているのが分かる。

「くそっ……」

どうしても怪盗仮面のわざとらしい笑い声が、紘哉の耳から離れなかった。