「ひっ……」 紘哉のすぐ後ろで早裕が悲鳴を上げた。 彼女は慌てて口を抑える。 紘哉は静かに女性に近付き、首筋にそっと手を当てた。 「……脈がない。死んでる」 早裕はその場に、ずるずるとしゃがみこんだ。 羽兎が慌てて彼女の肩を持つ。 暗闇で分かりにくいが、女性の周りは小さな血だまりができていた。 この緊迫した雰囲気の中、一人だけ空気の読めない人間がいた。