「なるほどぉ……通りであんまり反応しなかったわけだ。私が」

羽兎が嬉しそうに手を叩いた。
一瞬にして場の空気が凍る。

「……ワトコ、何かシャレにならないから止めてくれ」

紘哉に注意され、彼女は困ったように帽子のツバをつかんだ。

「続けていいか?」

「うん。ごめんなさい」

彼は気を取り直すように小さく咳払いをした。