「それは……これです」

紘哉はポケットからビニール袋に包まれたあるものを取り出した。

「それは……!」

優が驚きの声をあげる。
当たり前だ。
普通だったら存在しているはずの無いものなのだから。

「残念でしたね……まさか焼却炉に燃え残りがあるとは思ってもなかったでしょ?」

彼が取り出したもの――血に汚れた布切れだった。

「この布はハンモックの布と毛布の一部です」