正直今は一人で考えたい。
そして誰とも話したくない。
そんな感情が紘哉の心の中で渦を巻いていた。
人情など持ち合わせていない心で。
羽兎が何か言おうとしたが彼の鋭い目で睨まれ、口を閉じた。
そして、何も言わずに恵一と部屋を出ていった。
『アイツ、人の心ってモンが無いからなぁ……』
恵一の言葉が頭をよぎる。
人の心が無いか……
上等だ。そんなもんくれてやる。
真実を見出だすためならば。
明るい月が、それぞれを見守るように屋敷を照らしていた。
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