「まさかお母さんにも好かれるとはね……」

羽兎が遠い目をする。

「罪なオトコだね、紘哉さん」

「俺は知らない」

すると突然電気が消えた。

「わわっ!」

羽兎が狼狽える。
早裕は立ち上がってタンスの引き出しから懐中電灯を取り出した。

幸い今晩は満月だったので、月明かりだけでかろうじて移動する事ができた。

しかし目が慣れない。