紘哉がそっぽを向くと、女性は早裕に目を向けた。

「お姉ちゃん、隼美(はやみ)知らない?」

「えー?見てないけど……」

早裕は考える素振りを見せる。
すると女性は残念そうにため息をついた。

「そう……」

「あ、でもお母さんの部屋にいたよ」

「私の部屋?ありがとう」

どうやらこの女性は早裕の母親らしい。

「じゃあ、ごゆっくり」

そう言って彼女は部屋を出ていった。
その視線はしっかりと紘哉を捉えていた。