その時、リビングのドアが開いた。

「あら?お客様?」

ドアが開き、50代だと思われる女性が顔を出す。
声のトーンから、インターホンを押したときに対応してくれた女性だろう。

「すみません。お邪魔してます」

紘哉は頭を下げた。

頭を上げた紘哉の顔を見て、その女性は微かに頬を染めた。

「あらあら。色男さんじゃない」

「……」

嬉しそうな顔で言われた。
言い返す言葉もない。