「だから私はあの人に逆らう事ができないのです」

人の弱味につけこむ奴。
渋々従わなければいけない奴。
そうやって生まれる共犯者もいると言うことだ。

「許嫁と言えば……早裕さんにはいないのですか?」

ふと思い出したように、紘哉は優に尋ねた。
優は首を横に振る。

「あの子にはいませんよ。普通に恋愛をして、普通に結婚したいとか」

「なるほどな……」

彼女なら考えられる話だ。