夕食後、羽兎は懐中電灯を片手に中庭へ来ていた。 正確には、犬小屋の前。 「ロックス~。あんたは何を見たのさ?」 「わん!」 「いや、『わん!』じゃ分かんないから」 「くぅ~ん」 「『くぅ~ん』でも同じ!ちゃんと喋って」 「わん!」 羽兎はしゃがんでロックスと目を合わせる。 つぶらな瞳がこちらを見てきた。 「どうしろって言うのさ……!」