「なるほど……ベランダが無いって不便だな」

納得したように頷く恵一。
そういうことじゃないと思う。

「ケイ、因みに凶器のナイフは?」

「被害者が手に持ってた。普通の果物ナイフだよ」

「そうか。じゃあ自殺って可能性もあるんじゃないか?」

「いや、それはない」

恵一はキッパリと断言した。

「自殺だったら手に持ってるナイフは逆手持ちになるだろ。そうじゃなかったからさ」