「大地、私ね」

繭は、目の前の大地を見つめる。
大地、驚くだろうな。

「4月から、仙台の看護学校に通うことにした」

繭は、ジャーンと効果音をつけながら入校案内のパンフレットを開いて見せる。

「まぁ、試験はこれからなんだけどね。受かってみせるよ」

大地は、ただ黙って微笑んでいる。
試験に受かってから驚くよ、とでも言いたげだ。

・・・悔しいなぁ、もうちょっとリアクションが欲しいんだけどなぁ。

そう思ったけれど、繭は話し続けた。


「大地、私ね。

あの日、あなたが見たものを、私も見てみたいの」