痛めた足に負担をかけないよう、ひょこひょこ歩きながら保健室へ行く。
授業中の廊下は、しんと静まり返っていた。
「…やっとついた…」
保健室のドアを軽くノックして、「失礼します」と言いかけて、
「…………え」
白衣を着た保健室の先生と、
制服の女子生徒が、
キスをしていた。
目の前で起きてることが理解できず、その場で目を丸くして突っ立っていると、先生とキスをしていた女子生徒のほうが、こちらに気付いた。
「あ…あの」
「きゃああああああああっ!!」
甲高い悲鳴を上げ、顔を真っ赤にしながら、女子生徒があたしのよこをダッシュですり抜ける。女子生徒はそのまま逃げて行った。
取り残されたのは、あたしと先生の二人。
「……えっと…あのー……」
どうしよう、決定的瞬間を目撃してしまった。
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