そう思うと、体が勝手に動いて、寝室を出てリビングに向かっていた。
「せん……せい……」
ソファに横になろうとしていた先生に、かすれた声で呼びかける。
振り向いた先生は、驚いて目を丸くして、戸惑うような困ったような声で尋ねてきた。
「…日々野さん、どうして、泣いて……」
え?
あ、ああ。
あたし、泣いてるんだ、やっぱり。
恥ずかしいという気持ちはなかった。
生徒と先生というのも忘れていた。
とにかく、一人でいたくなかった。
「先生、」
「…?」
「いっしょに、寝てください」
「………え、」
「ひとりは、嫌なんです」
戸惑った表情の先生の服のすそを掴んで、軽く倒れこむようにして抱きついた。