中学にあがってからは、お父さんからも電話がくるようになった。
でも、内容はお母さんとあまり変わらなかった。

「お前のお母さんは最低だ」

「お父さんは騙されたんだ」

その頃から、自分の家が大嫌いになった。

あんな、汚い言葉でいっぱいの家なんかに帰りたくない。
お互いを忌み嫌うお母さんとお父さんなんてどっちも死んじゃえばいい。

そう、何年も何年も耐えて、
いまやっと、あの家から離れることができたんだ。


……あれ?

「……ウソ」

泣いてる?

あたしが?

いつのまにか、無意識に。
透明な雫が、いくつか床に落ちていた。
止めようとしても、止まらない。
次から次へと、機械的に流れていく涙。
……あたしって、こんな泣きかたする子だったっけ。

……あーあ。


「ダサ……」


道に迷った迷子じゃないんだからさ。

泣いたってどうにもならないことくらい、わかってんのに。

バカみたいだ……。


早く、寝る場所探さなきゃ。

そう思い、あてもなく歩き出そうとしたとき、









「日々野さん?」