保健室にたどりつき、ドアに手をかける。が、びくともしない。
当たり前だ。先生がみんな帰ったんだから、戸締まりしてあるのは当然。

「……」

でも、他に行く所なんてない。
……家に、帰りたくないから……だから、わざわざ寮のあるこの高校を選んだのに。

「…はぁ」

ため息がひとつ。
なんだか急に虚しくなってきた。全身の力を抜いて倒れてしまいたい。
百合には、家に帰ると言ってしまったから、いまさら頼れないし……。