「なんで?めちゃ優しそうじゃん?温厚というか、紳士的というか」

「……そ、そういうフリをしてるだけかもしれないじゃん!」

「なんで?」

「……」

「……なんか美羽、ヘン」

「……と、とにかく!!成瀬先生は…っ」

「僕がどうかしました?」

「うわあああああああああああっ!!?」

背後から降ってきた声に飛び上がる。

バッと勢いよく後ろを振り向く。立っていたのは紛れもなく、噂の張本人、成瀬先生だった。

「な…なんでこんなところにいるんですか!」

「日比野さんが気になったからですよ」

嘘だ。絶対嘘だ。

「嘘でしょ」

「はい。本当は、保険だよりのプリントを配りに来たんです」

にこやかに嘘を認める先生。

もうこの先生、ワケわかんない。

「…で、何か用ですか」