購買って怖い。

中学時代はお弁当派だったあたしは、購買の恐ろしさを身をもって思い知らされた。
男子生徒も女子生徒も容赦ナシ。
さっきなんて、「1年ジャマ!」と思いっきり突き飛ばされた。患部はとっさに守ったから大丈夫だったけど、代わりに無防備に壁にぶつけた頭がじんじんする。

死にそうな思いでゲットしたイチゴジャムパンを、教室で百合と大事に食べる。

「百合~、チョコパン一口ちょうだい」

「イヤ」

「…じゃあせめてジュース」

「イヤ」

あたしが苦労してジャムパンを手に入れている間、百合はさっそく男の先輩をパシリに使って、レアなチョコパンとジュースを手に入れていた。

ま、百合は中学時代もそうだったんだけどね。

百合はいわゆる、「守りたくなる」タイプだ。

いかにも女の子~ってカンジの、華奢な細い体に、色白の肌。黒い目もくるんと大きくて、髪の毛はうらやましいほどのサラサラストレート。

そんな先輩ウケの良い百合は、男の先輩に可愛くおねだりして、お昼をやすやすと乗り越える。

うらやましいことこの上ない。

あたしには、そんなふうに尽くしてくれるような人、いないもん。

「あ、そういえばさ」

「何?」