「別に――平気です。たいした怪我でもないし」

「だめですよ。捻挫してるかもしれませんから、足見せてください。体育の授業でひねったとか、そんなとこでしょう?」

「……」

図星だったし、腕をつかんでいる先生の手が強かったこともあって、仕方なくイスに座って足を突き出した。
先生があたしの靴下を脱がせて、顔を近づける。


…なんか、妙にドキドキする。


骨ばった、大人の男の人の手がやたら冷たく感じる。

でも、ケガを悪化させないよう、優しく扱ってくれているのもわかる。

っていうか、今気づいたけど――けっこう顔は、カッコいいんだよね…。

焦げ茶の目も優しそうで、品の良さそうな顔をしている。メガネとか似合いそう。

黙ってたら、確かにモテそうだな。


――そんなの、どうでもいいけど!


時間が経つのが、妙に遅い気がした。

しばらくして、先生が「大丈夫です。軽くひねっただけみたいですね」と笑った。