にぎわいを見せる春の夜の街を、ただ無心に歩いた。


うっかり気をぬけば、溢れだしてしまいそうな涙をこらえながら。



あたしは、いったいこの先どう生きていけばいいんだろう……。


永都先生のいない、この世界で。



込み上げる不安と虚しさをこらえながら

問いかけるように、頭上の月を見上げた。


ネオンライトに照らされた都会の明るい夜空は、その答えさえもくれやしない。



行きかう人々が、幸せそうに見えて仕方がない。



これは、ただのマリッジブルー?



幸せになりたいと願いながら、何が幸せなのかがわからない。


どんなふうに生きれば、幸せだと感じられるのかがわからない。