「女は家庭をちゃんと守るべきだって、母さんが聞かなくてさ。だから、早いうちに退職してくれないか?」


そんな……。

仕事をやめるなんて……。


あたしはすっかり続ける気でいたのに。


お互いに自分の仕事を持って、それぞれのしたいことを尊重しようって

付き合ってるときはそう言ってたじゃない。


これじゃ話が違う。



「あ、あたしは働きたいよ!」


声を大きくして訴えるあたしに、悠貴は苦笑いを浮かべる。


「わかってくれよ。嫁と姑うまくいったほうが花音もやりやすいだろ?おまえがガマンすればいい話だし。第一、金に困ってるわけでもないだろう?挟まれる俺の立場も考えてくれよな」


そう言って悠貴は、あたしの肩をポンポン叩いた。


あたしの考えなど、まるで無視するような軽い物言い。


笑顔さえ浮かべる悠貴に対して、怒りとも憤りともとれる感情が溢れだしてきた。