「花音、結婚する前に今の仕事やめてくれないか?」



「……え?」



突然の悠貴の言葉に、思わず手をとめた。



仕事を、やめる?



「悠貴……?」


「いろいろ考えたんだけどさ、やっぱり専業主婦になって、俺を支えてほしいんだ」



笑顔を見せる悠貴に戸惑った。



「で、でも、悠貴。昔から家庭と仕事を両立したほうがいいって言ってたじゃない?」


「まぁ、そう思ってたんだけどさ。俺の母さんが反対しててさ」



悠貴はバツが悪そうな笑みを浮かべた。