「あっ、ご、ごめん。何?」


話をほとんど聞いてなかったあたしを見て、悠貴はハァと大きく溜息をついた。


「花音はさ、何か希望とかないの?なんか俺ばっかりだよ」


つまらなさそうに言って、グラスに口をつけた悠貴。


あたしはウーンと考えながら、首を横に振った。



「あたしは、悠貴が喜んでくれるなら、何でもいいよ」


なんて言ってみせるけど。


本当は、とくに興味がないんだ。


女だったらふつう、自分の結婚式にいろんなこだわりをもつんだろうけど。


あたしには、何のこだわりもない。


そこまでの思い入れもない。



「そう。そういえばさ、花音」


淡々と食事を口に運ぶあたしを真剣に見て、悠貴は口を開いた。