……でも、本当のこと言うと


悠貴への思いは


恋焦がれるくらいの愛じゃなくて

一緒に暮らすのが待ち遠しいくらいの愛でもなくて


未来を描けるほどのリアルさもなくて……



悠貴と結婚するって
何度心の中で言い聞かせても

いつまでたってもそれがリアルに感じられない。



「幸せになってね」って言われるたびに

「幸せ」って何なんだろうって考えてしまう。




でも、それは仕方のないことなんだ。


きっと永都先生ほどに、人を愛することなどできやしないんだから。



どこかで妥協してる自分がいるのは確かだけれど


きっと、結婚ってそういうものなんだよね。



悠貴と一緒にいることで

きっと永都先生のことも忘れられる。


全部忘れて、幸せになれるはず――……


そう、思っていた。