「いただきます」


あたたかい紅茶を啜りながら、リビングを見渡した。


グランドピアノは長く使われていないのか、カバーが掛けられている。


「家族は今バラバラになってしまったけれど、昔はとても仲がよくてね。母もピアノを教えていたから、よく家族で合奏をしたりして……。

あの頃はとても楽しかった。



家族5人で」





「えっ……?」





薫さんの言葉に、あたしは大きく目を見開いた。





「家族、5人?」


先生の家族は4人じゃなかった?