「どうぞ」


薫さんとともに中に入ると、和室の片隅に仏壇が置かれていた。


そして、仏壇の上にかけられた永都先生の遺影が、あの日と変わらないままの笑顔であたしを見下ろしていた。



5年ぶりに見た、先生の姿だった……。



「ちょうどCDデビューが決まっていてね、その時ジャケット用に撮っていた写真なのよ」


薫さんはそう言って、感慨深そうに先生の写真を眺めた。




キラキラと、眩しいほどの笑顔。


その瞳の先には、輝く未来が待っていたんだろう。


世界中がきっと永都先生のピアノを待っていたんだろう。