薫さんにそう言われたら、きっと先生もあたしを心のどこかで想ってくれてたんじゃないかって思った。


たとえもう会えなくても、先生に聞きたかったことが聞けた気がした。



「あのね、花音さん。あなたのせいだとか、あなたとの約束がなかったらとか、私はそういうふうに思ったりしてないから」


薫さんはそう言って、俯くあたしの顔を覗き込んだ。


「もちろん、永都の死は私たち家族を苦しめたわ。あの子は将来有望視されてただけに、悲しむ人もたくさんいた。未だに母は精神的に不安定で、病院へ通ってる。だけどね、これはどうしようもないことだと思うの」


あたしは黙って、薫さんの言葉を聞いた。