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地図を片手に、現れた一軒の家を眺めた。



2階建ての、赤い瓦屋根の家。


広い庭はよく手入れされていて

花が咲く、あたたかな感じがする家。



霧島という表札を確認して、あたしは大きく深呼吸をした。



霧島永都、それが先生の名前。


ここが、先生が暮らしていた家……。



この家で、永都先生が育ったんだと思うと、心臓の音が速くなるのを抑えられない。


たしか、お父さんとお母さんと、それからバイオリニストのお姉さんがいたと言ってた。


先生は生まれながらに恵まれた、音楽一家で育ったんだ。