「とても好きだったの。光輝いている彼が眩しくて、憧れて。いつも追いかけてた。ピアノを弾いていたのも、彼がいたからなの。だけど…突然、失ってしまった」


手が震えるのを感じながらも、言葉を続けた。


「本当に突然だった。初めてのデートの直前、彼の想いをちゃんと確かめる前に、あたしは失ってしまったの。それからずっと、誰に対しても心を閉ざしてる自分がいた。ピアノを触れば、彼を思い出しそうで怖かった。だけど……」


震える手を伸ばして、ネオの体にしがみついた。




あたたかい。


ネオのぬくもりが、ここにある。



だから……



「あれから何年も経って、やっとこうしてピアノに触れることができた。きっと、ネオのおかげだよ」


スッと一筋の涙が頬を伝うのを感じた。