ぎこちなく動く指から

繰り出されていく旋律



甘くて、切なくて

胸が痛くなるような旋律



美しくて

かわいらしくて



一輪一輪の花が開いていくように

追いかける旋律



指はまだ、ちゃんと覚えている……。




そして


瞼の裏に浮かぶあの人の姿に

熱い何かが込み上げる。



喉の奥から上ってくる熱が

涙となって出ていきそうになる。