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ポロン――……



指を、深く鍵盤に沈めた。



切なげに声をあげるような音が

心の芯にまで響いてくる。



「もう、大丈夫だよね」



あたしは自分に言い聞かせるようにして、両手を鍵盤に乗せた。




息を吸い込む。


瞼の裏に浮かぶ人を想いながら

指を動かした。