平日だからか、人はとても少ない。


店の中央にあるピアノも、誰もいなくてカバーが掛けられているままだった。



今日はネオはいないようだった。


予め聞いておいたら良かったなぁ……。



――仕方なく、一杯だけ飲んで帰ろうとカウンター席に腰をかけた。




「いらっしゃい、花音ちゃん」


奥から出てきたのは玲さんだった。



お客さんが少ないせいか、暇を持て余すようにグラスを拭いている。